第2回 日本徒手療法学会 学術集会 開催

 平成25121日(日)に大阪医療福祉専門学校にて日本徒手療法学会の第2回学術集会を開催致しました。参加人数は約50名と多くの先生方にご参加いただきました。今回のテーマは「本質を捉える徒手理学療法」とし、海外よりSt.Augustine大学のMF1インストラクターであるRob Stanborough先生をお招きして「Posture from the Manual Physical Therapist’s Perspective 徒手理学療法士の視点から見た姿勢の評価と治療」というテーマで海外招待講演をいただきました。またSt.Augustine大学のS1・S3インストラクターであり、本学会の会長でもある佐藤会長からも「上部頸椎機能解剖(靱帯を中心に)」というテーマで基調講演をいただきました。

 

 (中央:Rob Stanborough先生)(学会開催で挨拶される佐藤友紀会長)

 

始めに佐藤会長からは頸椎の機能解剖で特に私達が臨床の場で見落としやすく、もしくはあまり知られていない重要な靭帯や血管の構造をいかに臨床で活用していくのかを考えさせられる大変興味深い内容でした。

Rob先生からは姿勢をみることの重要性や、それによって起こるバイオメカニカルな影響、そして最新のリサーチの報告とともに徒手理学療法との関係をご講演いただき、改めて姿勢の重要性を知る貴重な機会となりました。


 また、今回は本学会の副会長でありS1インストラクターでもある増井健二副会長より「卒後教育臨床実習の試み」ということで本学会の活動報告を踏まえて、現在の

  (活動報告される増井副会長)    日本の徒手療法教育の現状についてもお話をいただき、今後の日本の徒手療法の在り方について、一緒に考える貴重な時間となりました。

  また学会後半では症例発表も行われました。今回はポスター形式で発表をお願いしたところ、会場の先生方から非常に活発なご意見をいただくことができ、盛況の内に終わることができました。

 

    (今回のポスター発表)      (ポスター発表時の会場の様子)

     (基調講演での様子)       (実技練習される様子)

本学会にご講演・症例発表をしていただきました先生方、ならびにご参加いただきました先生方に厚く感謝申し上げます。今後も更に良い研修会・学会などを行っていきたいと思いますので、皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

佐藤会長 日本人初 海外論文(徒手)のreviewerとして指名

2013年より、佐藤会長が海外の徒手系英文誌のreviewerとして指名されました。この雑誌では日本人初です。編集責任者より6-7倍の競争率の中から選ばれたことが知らされました。もちろん、業績を提出しますので、その実績が評価されたということです。本年は我々の臨床研究が英文誌にアクセプトされただけでなく、最後に海外英文誌のreviewerとしても認められ、成長を感じた1年でした。これで、我々の学会は自他とも認める学術的な徒手療法を実践しているといっても過言ではないでしょう。

 

Hi, Dr. Sato,

I have modified your registration at the JMMT website such that you are now listed as a reviewer for the journal. Thanks so much for your willingness to help us out.

Please let me know if you have questions or comments about our journal or your role. Please see attached.

Best wishes,

 

Dan Vaughn, EIC

JMMT

臨床実習(米国PT協会認定、米国徒手理学療法部会認定、IFOMPT認定)

2012124()8()まで岐阜県の中村整形外科において臨床実習を開催させていただきました。この実習を受講された方は本年より米国PT協会・米国徒手理学療法部会そしてIFOMPT認定のプログラムも開始しました。これは日本初のものであります。

4名の会員が参加し、実際の患者様に対して評価と治療をさせていただける機会をいただき、講師にはRob Stanborough先生、佐藤友紀会長(通訳兼)にご指導をいただきました。

 

 参加者も講習会で習得した知識や技術・そして自らの臨床経験をもとに評価と治療を行い、講師のRob先生、佐藤会長にアドバイスを求め、時には一緒に治療にあたりご指導をいただきました。

 

 患者様、院長先生からも満足のお言葉をいただき、臨床実習を終えることができました。

参加者からも、今まで講習会で習得した知識と技術を患者様に役立てられることを確信できたという感想もいただき、当会としても講習会に加え、臨床実習を通じて多くの臨床家と患者様のお役に立てることを確信した5日間でした。

 

 来年以降も開催を計画して参りますので、是非一緒に学び、そして患者様の役に立てる喜びをわかち合いましょう。

                     2012年12月15日

日本徒手療法学会 事務局

IFOMPT会員報告

IFOMPT会員報告
IFOMPT会員報告.pdf
PDFファイル 204.4 KB

英語論文採用 2

佐藤会長が執筆した研究が下記論文として採択されました。日本の徒手療法界から外国の論文に掲載されるのは稀です。

我々の研究が世界的に評価され始めたことを示しています。

Sato T, Masui K. Effect of Cervical Combination Positions on the Intervertebral foramina. Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics 2012(accept)

英語論文採用

講習会で指導している手技について研究したものが英語論文として採択されました。

 

Preliminary study with immediate effect of spinal segmental side bending mobilization to improve lumbar range of motion

Journal of Physical Therapy Science.  Sato T, Koumori T, Uchiyama

 

第1回 学術集会 開催

 平成23116日(日)に大阪医療福祉専門学校にて日本徒手療法学会の第1回学術集会を開催致しました。参加人数は約90名と多くの先生方よりご参加いただきました。テーマは「理論的な徒手理学療法の実

践」と言うことで海外より     (基調講演での会場の様子)

St.Augustine大学のMF1インストラクターであるRob Stanborough先生をお招きして「トリガーポイントの根拠―知識、検査、治療の面から」という題で特別講演をしていただき、またSt.Augustine大学のS1・S3インストラクターであり、本学会の会長でもある佐藤先生より「断片的知識から理論と診断への道筋」ということで基調講演をしていただきました。

 

左:Rob Stanborough先生、中央:佐藤友紀 会長 )

どちらのご講演も大変好評で、参加者の先生方より大変興味深い講演でした。佐藤先生からは日本理学療法士協会が長年課題とあげている開業権について米国の状況、そしてそこから導かれる理学療法士が行うべき診断の意味や重要性を丁寧に説明され、最後にそれらを踏まえた上での徒手療法教育の再考と、今の日本の理学療法士に足りない部分を、まさに理論から診断への道筋そのものを示していただけた興味部会内容だったと思います。

Rob先生からは日本では曖昧に理解されている部分も多いトリガーポイントも、最新の科学的根拠をもちいて非常に分かりやすくご講演いただきました。最後には少しだけ実技も含めていただきトリガーポイントの、根拠に基づく治療の重要性を再認識致しました。多くの参加者の先生方からも自分の臨床を見直すきっかけになった、曖昧な部分を確認することができたなど参加された多くの先生方より好評をいただきました。

また症例検討も3人の先生方がそれぞれ発表され、会場の先生方より、具体的な内容がよく分かり非常に勉強になったなど、こちらも参加者の先生よりご好評をいただき、大変実り多い症例検討会になりました。

本学会にご講演・症例発表をしていただきました先生方、ならびにご参加いただきました先生方に厚く感謝申し上げます。

今後もより良い研修会などを行っていきたいと思いますので、皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

日本徒手療法学会発足について

 このたび日本徒手療法学会を発足いたしましたのでご報告いたします。

 本学会は「臨床家のための理論的・科学的徒手療法の発展」を目的とし「流行に惑わされない」「真実を受け入れ,真実を伝える」ことを心がけていく所存でございます。

 根拠を重視する今日,その根拠を臨床に生かすためには理論的思考を実践していることが大前提であります。一部の概念・知識・手技へ固執したり,「流行(トピックス)」を作る内容では,最初の満足感はありますが,評価に対する意識そして理論的思考が少なくなります.結果として「臨床推論」とういよりむしろ「直感に頼る徒手療法」となります。「直感に頼る徒手療法」であると,土台言い換えれば患者治療における意思決定に軸がないため,他者の意見・研究による根拠に大きく振り回されたり,根拠を批判として受け取ることが多くなります。理学療法士は「直感に頼る徒手療法」ではなく,解剖・運動学など既存の知識を可能な範囲で利用し「理論的に考える徒手療法」を学び,学んでいる結果を科学的根拠として追求する(研究者へ)ことが必要と考えます。

 本学会では「臨床家のため」を目標に置いています。そのためには治療手技も大事ではありますが,評価・病態把握の重要性を今まで以上に強く訴えていきます。患者様を治療・管理できないのは治療手技が不十分というより,評価・病態把握が不十分なことに原因が多いように考えています。本学会では臨床家の先生にもご活躍して頂くよう,A=Bのようなマニュアル的かつ,思考する必要がない徒手療法ではなく,目の前の患者様を純粋に評価して,その評価に基づき純粋に病態を推測することで治療が組み立てられるよう努めて参りたいと存じます。

 また,本学会は「真実を受け入れ,真実を伝える」ことも忘れないよう努めて参ります。代表的な例として,徒手療法の歴史を適切に皆様に伝え,徒手療法の先駆者の考え・実践してきたことを後世に伝える責任を遂行いたします。このような徒手療法の歴史を含め,真の情報を提供していきたいと考えています。その他,徒手療法に関した話題で最近世界(英語論文)で何が言われているのか,など情報も提供していく所存です。

 本学会では,上記に例として挙げた国内で生じてきた多くの誤解・問題を解決し,理論的・科学的な徒手療法を発展させて参る所存でございます。皆様のご指導・ご協力をお願い申し上げます。

カルテンボーン,ロッカーバードらととに招待スピーチをおこなった会長(2007年8月 セントオーガスティン大学新校舎落成式典にて).